第二回塚本舞

塚本舞 インタビュー

年明けにTHE 夏の魔物からの卒業を発表した、まいぷにこと塚本舞。中心人物としてバンドを牽引してきた彼女の卒業を惜しむ声は多い。そこで今回は、塚本舞本人から卒業について、これまでの活動について、これからの自分自身とTHE 夏の魔物について、今の心境を余すことなく語ってもらった。

取材・文:岡本貴之

―1月3日に卒業することが発表されましたが、改めて卒業発表に至った経緯と今のお気持ちを聞かせてください。

舞:ブログの方にも書かせて頂いたんですけど、去年の秋ごろから体調を崩してしまって。魔物の活動を続けながら治療をするというのが理想的ではあったんですけど、やっぱりなかなかそれも上手く行かず。マネージャーさんと話し合って、メンバーのみんなに正式に卒業することを伝えました。そこから発表までがけっこう長かったので、ライヴをしたり、魔物チルドレンのみなさんと接したりするのも私自身色んなことを思っていました。自分の中で卒業することは決まっているものの、それはみなさんはまだ知らないし悟らせてはいけないし。でも自分は既に寂しい気持ちにもなっていて。色んな感情が渦巻いている中での活動でした。中には、ライヴを観て「何かあるんじゃないかな?」と思っていた方もいたと思うんですよ。

―それはどんなときに感じたんですか?

舞:ライヴの後に「何か知らないけど、舞ちゃん今日泣いてたよね?」って言われることもあって。卒業発表前に、感情がパフォーマンスに出ていたらしくて。「最近のまいぷにはエモい」とか(笑)。それはたぶん、色んな想いがパフォーマンスに出ていたんだろうなって。そういうこともあったし、発表までの間、これまで以上にメンバーと写真を撮ろうとか、一緒にいられる時間はできるだけ一緒にいたりとか、スタジオ終わりとかもご飯を食べに行ったりとか。普段からメンバーの仲は良いんですけど、みんな仕事の後にご飯に行くような性格じゃないというか(笑)。すぐにお家に帰る性格なので。

―個人主義なメンバーが多いと言っていましたよね。

舞:そうそう。私が卒業を決めてからは、メンバーのみんなも一緒にいる時間を大切にしてくれて、ご飯を食べに行ったりいっぱい写真を撮ったりしていました。そういうことがライヴにも表れていて、それを感じ取っていたんじゃないかと思います。

―体調面を心配なさっている方も多いと思います。

舞:体調が悪いことで日常生活に支障があるということではないのですが、THE 夏の魔物のライヴはすごく激しいですし、100%のパフォーマンスをお見せすることができないということもあって、色々悩んだ結果卒業することにしたんです。今後は、治療をしながら自分のペースでソロのタレント活動は続けていきます。卒業したからといってまったく関係なくなるわけではないですし、気持ちとしては今後も夏の魔物ファミリーの一員であることに変わりはないです。

―今までを振り返ってみてどんな想いがありますか。

舞:それまでは「一個人のタレント・塚本舞」として生きていた部分があったのが、2015年からは「夏の魔物の塚本舞」として生きていたと思うんです。それまでは音楽活動をしたこともなかったですけど、この1年半は魔物に属していることが先立つような形で「夏の魔物の塚本舞」と言われることが多かったし、自分自身もそういう自負があって活動してきたので、その肩書が取れるっていうことは、ちょっと今はまだ想像がつかないところもあります。

―それだけ中心となってやってきたわけですもんね。

舞:本当に、夏の魔物に捧げてきたので。

―毎回、どんな気持ちを持ってステージに立ってきたのでしょうか。

舞:私は女子メンバーでは一番古くからいるし、その中でも良い意味で昔を知っているというか。「夏の魔物はこういうものだよ」という、“夏の魔物イズム”的なものが培われてきたと思うんです。だから新メンバーが入っても「あ、これが夏の魔物の空気なんだ」っていう部分をどんどん継承していければ変化して行ってもそこに変わらないものができるんじゃないかなと思います。

―その“夏の魔物イズム”というのは、舞ちゃん自身が先頭に立って培ってきたという自負もあるんじゃないですか。

舞:前にもお話したことがあるんですけど、マザーシップみたいなものが魔物にとって必要だと思っていて。「自分がならないといけないんだ」と思うようになったんです。

―それはいつ頃から?

舞:やっぱりチャン(泉茉里)が入ってからですね。メンバー内に後輩ができたこともあって。成田さんが安心してセンターに立てるようにとか、みんなが実力を最大限に発揮するためには、まず私が安心感を持たせないといけないというか、パフォーマンスの面でも安心感をキープしないといけないし、存在として安心感を持たせられるようになって支えて行きたいなって思っていました。

―ライヴでも舞ちゃんのハイトーンボーカルが夏の魔物の売りの1つになっていますけど、難しい曲も多いんじゃないですか?

舞:音域に関しては、けっこう人間として苦しいキーまで挑戦させて頂いています(笑)。デモを聴いて「すごく高いキーのパートがあるな、誰が歌うのかな」って思っていたら成田さんに「舞ちゃん以外いないでしょ」って言われて、「できるかな?(笑)」ってなったりしたこともあったんですけど(笑)。でも、ライヴやボイトレを重ねていくうちにでだんだん声がでるようになるんですよ。魔物の活動を続けていく中で、自分の音域がすごく広がったんですよね。だから歌っていてつらくはないですし、高いキーでも歌っていて気持ちが良いです。

―ライヴの後にチェックしたりもしているんですか。

舞:ライヴの後の映像をマネージャーさんに送って頂いてその日のうちに必ず観ます。どんなに眠くても、必ずその日のうちに復習するんです。もともと魔物のライヴ映像を観るのが大好きなんですけど、当日の方が細かいところを覚えているうちに復習できるので。でも、体力的にも「今日のライヴ、バテてたな」とか思うところを発見したりとか、スタジオに入るときも本番同様にやらないと駄目だなとか、そういう反省もあったり。

―そうしたこれまでのライヴ活動の中で、真っ先に思い浮かぶことってどんなことですか?

舞:けっこう思い出深いライヴがあるんですけど、豊洲PITで「DMMアワード 2016」(2016年5月4日)に出させて頂いたときがやっぱり印象深くて。かなりアウェイなライヴだったんです。でも、私はアウェイ大好きなんですよ(笑)。対バンが大好きで、とにかく燃えるんです。衣装に着替えると強気になるので、「これだけのお客さんをどれだけファンにして帰してやろうか」みたいな気持ちでライヴに挑んでいて。それこそ対バンで他の出演者のファンが多いライヴのときは「おまえら、全員ファンにして帰してやるからな!」くらいの気持ちだし、メンバーみんなからも「アウェイなほど燃えるぜ!」みたいなスポ根的な熱さをいつも感じます。「DMMアワード」はお客さんが3,000人くらいいたので「世界vsマモノ」みたいな。

―ははははは!

舞:それくらいのアウェイ感だったんですよ。だって、3,000人vs 4人(当時は5人編成だったが、この日はアントーニオ本多が不在のため)とかって、戦争だったら瞬殺じゃないですか?

―(笑)そういうセカイ系的な発想になるのが、オタクっぽいというか。

舞:魔物っぽいところですよね(笑)。そのときは大きいステージで特効とかビジョンとか演出も豪華で。そんなところでライヴをやらせて頂けることも幸せだったし、私たちが本当に映える、似合うステージはこういうステージだぞっていうことをわかってほしいっていう気持ちもあって。もちろん、ライヴハウスでのライヴも楽しいんですけど、そのときは「いつかこういう未来を魔物チルドレンに見せたい」という気持ちがあったし、ちょっと“未来を前借り”したというか、先に見せてもらえたような気持になって。

―“未来を前借り”っていいですね。

舞:魔物チルドレンのみなさんも、終わった後に、「ちょっと未来の魔物を観た気持ちになった」って言ってくれた方もいて。私にとってもいつか叶えたい景色を先に見せてもらえた気持ちになれたので、すごく特別な日になりました。数人だけど、ペンライトを振っているからわかるんですよ。明らかにノリが違う人たちが3,000人の中に混ざっていて。それを見つけたときに、その人たちが本当に愛おしくて。3,000人の中にこっちの味方を見つけたわけですよ。そのことに「見てろよ、おまえら全員味方に変えてやる!」みたいなパワーをすごくもらったし、あのときにペンライトを振ってくれていた人たちのことは忘れないです。

―「夏の魔物」フェス本祭に関してはどうですか?

舞:本祭は、特別ですね。本祭を迎えたときは「ああ、この1年頑張ってきて良かったな」みたいな、自分の中でのご褒美タイムじゃないですけど、この景色を観るために1年頑張ってこれたし、またこの景色を観るために1年頑張ろうって、気が引き締まるような特別なイベントでした。よく覚えているのが去年の本祭のときなんですけど、良い時間にメイン・ステージでやらせて頂いて。夕日が沈んで、真っ暗になる瞬間ってあるじゃないですか?「バイバイトレイン」の最後のところで、私は夕日が沈む中、胸に手でピースを当てて目を瞑っていたんです。それで「パッ」ってと目を開けたら、真っ暗になっていたんですよ。さっきまで夕方だったのに、一回目を閉じて開けたら夜になっていて。それも忘れられないです。

―すごくドラマティックな体験ですね。

舞:そうなんです。「あっ夜になってる!」って。

―本祭の前のリキッドルームと本祭では生バンドでのライヴを行いましたけど、1月6日には新たに「シン・ マモノBAND」とのライヴも披露、ロックンロールバンドTHE 夏の魔物としての活動が始まりました。

舞:THE 夏の魔物を結成して、たぶん音楽的な方向性も変わるし、本当に新しいものが始まると思うんですけど、ある意味7人のTHE 夏の魔物はこの2、3ヶ月しか観れないドリームチームだっていう気持ちで、活動していきたいです。

―麻宮みずほさんが新メンバーとして加わりましたが、残りの期間でみずほさんにはどんなことを伝えていきたいですか。

舞:みずほちゃんに何かアドバイスをしたいとかいうことはないんです。私が卒業した後のTHE 夏の魔物を、また別の方向から構築して行ってくれると思っているので、みずほちゃんらしさでまた新しい層を開拓して、新しいTHE 夏の魔物にしていってくれたらなって思っています。ただ、今のTHE 夏の魔物のファミリー感、メンバー間の仲の良さとか温かさみたいなことは、自分がいるうちにみずほちゃんに教えられる部分かなって。「こういう空気感なんだよ」ということはみんなで教えてあげて、みずほちゃんにもメンバー内の温かさを保っていってもらいたいなと思います。

―舞ちゃんが卒業すると、キャリアの上で泉茉里さんが一番のお姉さんメンバーになるわけですが。

舞:昨日、ちょうどチャンとご飯を食べて「一番上になるよ、任せたよ」っていう話をしていて。頑張り過ぎない程度に頑張ってねって。でも、「しっかりしなきゃしっかりしなきゃ」でチャンの良さが潰れてしまうのも良くないと思うので、チャンに限らず、そこは(鏡)るびいにもしっかりしてもらって(笑)。みんなで責任を分担してやっていってほしいなと思います。

―初の魔物チルドレンからの加入となったるびいさんは、もともと舞ちゃんファンだったみたいですね。

舞:るびいはもともと、魔物のライヴに良く来てくれていて、チェキも撮ってくれてたり。私に対してすごく幻想を持っていたらどうしようって、入ってきたときに思いました(笑)。大人っぽい子だって思っていたんですけど、全然そんなことなくて、それは180度くらい印象が変わりましたね、加入する前と。

―妹みたいな感じなんですか?

舞:いやあ……。弟みたいな感じですね。というより何かの生き物を飼っているような(笑)。愛すべき存在ではあります。

―舞ちゃんはマザーシップというより、魔物ガールズのお母さんみたいですね。

舞:いや、ガールズに限らず成田さん、大内さん、アントンさんのことも心配しているので。みんな大丈夫かなあって(笑)。

―魔物ボーイズ3人は、以前にも増して結束は固くなっているんじゃないかなと。

舞:そうですね、そう思います。大内さんは“成田大致が創るもの”が見たくて身を捧げている感じがありますね。アントンさんは、俯瞰で見てくださっているというか、魔物にどんなことが起きても、ちゃんとガッシリとそこに根を張っている大木みたいな存在だと思っています。成田さんは今後のことで思い描いているものがきっとあると思うんですけど、THE 夏の魔物のメンバー全員がそれに応えられる最高のメンバーだと思いますし、そこに関して成田さんへの信頼もあります。絶対、素敵なTHE 夏の魔物を作っていってくれるんだろうなって。

―3月17日(金)に新宿MARZで卒業公演「THE 夏の魔物登場!!!TOUR特別編 ALL MY LOVE FOR YOU~塚本舞卒業記念スペシャル~」が行われますね。

舞:最後もいつものように、今観れる最高のライヴを見せたいなと思っています。ただ、普段できないようなことをやろうとみんな言ってくれているので、せっかくお時間を頂けるなら、その日にしか観れないものを盛り込もうかなって計画中です。私はハロー!プロジェクトさんが好きなので、卒業公演っていうのは特別なものを感じるし、みんなが前向きになれるような良い公演に出来たらと思います。卒業公演のタイトルは私がつけさせてもらったんですけど、今までいただいた沢山の愛を返せるような、私のすべての愛を伝えられるようなライブにしたいという思いから「ALL MY LOVE FOR YOU」というタイトルにしました。

―最後に改めて魔物チルドレンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

舞:3月17日まで、ライヴでお会いできる機会も限られていると思いますし、7人のTHE 夏の魔物を見られるのは今しかないので、ぜひお見逃しのないようにライヴに来てもらいたいです。卒業公演もこれまでの自分の集大成になるような、一生観れないものを観ることができるライヴを計画しておりますので、絶対来てもらいたいです。そして卒業後も自分のペースで活動を続けて参りますので、今後もみなさんとお会いする機会を作って行けるように頑張ります。夏の魔物ファミリーの一員として、これからも温かい応援をよろしくお願いします!

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