第三回泉茉里

「ケンドー・チャン」としてデビューしてからここまでの1年半、THE 夏の魔物結成とともに本名での活動を開始と、自らも変化を遂げた泉茉里。
THE 夏の魔物の絶対的エースでありセンターである彼女は、今どんな思いを抱いているのだろうか。
取材・文:岡本貴之

―加入して1年半、茉里ちゃん自身も変化してきましたよね。この1年半を振り返ってみていかがですか。

茉里:もう本当に、色々ありましたよね。とにかく夏の魔物の良さをどうやってアピールするかを考えて活動してきました。
ただただ、常に自分のスキルアップをテーマにして、「自分は絶対これが限界じゃない」という気持ちでずっとやっているので、この1年半で日々成長したなって思ってます。 覆面を脱いで、さらけ出していくというのも楽しかったし、とにかくこの1年半は楽しかったですね(笑)。
普通だったら経験できないようなことをさせてもらったのは自分にとってプラスになったし、ありがたいなと思いました。

―その楽しさは、加入する前に持っていたイメージ以上のものがあった?

茉里:自分はずっとソロでやってきましたけど、ただ素直に歌が好きでダンスが好きで、それが表現としてたまたま当たって、みんなに支持してもらったと思っていたんです。
だから、魔物に入った瞬間に、自分の中の勝手なイメージとして「自分はサブキャラ」だと思っていて。素の自分って、常にテンションが高いというか、友だちと一緒にいてもワーッて盛り上げたいし、常にみんなの輪の中で楽しんでいくタイプだけど、センターではないと思っていて。

―友だちの輪の中にいても、中心にいるわけではないんですか。

茉里:真ん中にはいたつもりはなくて、常に誰かを中心としている輪の中にいて、話に乗っていく感じで。
入るときには、そういう立ち位置を自分で決めて「こういう感じでいったら楽しいやろな~」みたいな。何か成果を出そうとか、ここで何かを創り上げていこうとかは、最初は全然考えてなかったんです。

―その気持ちはその後どんどん変わっていったんですか。

茉里:今は、魔物は売れないとアカンと思って。きっと、魔物は何かのきっかけで注目されなきゃいけない“隙間産業”をやってるんだろうなって思っているんですよ。

―(笑)“隙間産業”?

茉里:そうそう(笑)。他にないじゃないですか?AAAともlolとも全然違う男女混合っていう感じで。どこかで発見されればきっと上手く行くと思うんですけど、それに気付き始めた瞬間に、私はこのバンドに何か貢献したいなと思ったんです。

―それは何かのきっかけがあってそうなって行ったんでしょうか。

茉里:う~ん……。何かあったんですよ、自分の中で。「あ、これはしっかりやらないといけないな」というきっかけが。でも、今じゃなんだったかわからないくらい、すごく些細なことなんですよ。
私のソロ・パートを入れてくれたとか、振り付けで前に出させてもらったりとか。やっぱり、誰でも頼られると頑張ろうって思うじゃないですか?たぶん、「良かったよ」って褒められたりすると、頑張っちゃうタイプなんですよ。加入する前は、急に言われて急にポンって入ってきた感じだったので、最初は仕事というか話題作りみたいな感じかなって私自身、思っていたのかもしれません。でもだんだん、そうじゃなくて「もっと頑張ろうよ、一緒にやろうよ」って引っ張ってくれたり、仲間感を出してくれた瞬間に「あ、私は仲間なんだ」っていうところから気付き始めて、ちょっとずつ意識が変わっていったんだと思います。

―魔物チルドレンからの声も大きかったんじゃないですか。

茉里:「チャンが入ってからステージの雰囲気が明るくなったね」ってめっちゃ言ってもらったんですよ。それはすごく嬉しくて。「私が入ったことで良くなったところもあるんだ」っていうことにそこで気付きました。「私って居る意味あるな」って(笑)。当たり前だよって言ってくれる人もいるかもしれませんが、それが最初はあまり気づけられなかったんですよね。だから、大きなことがきっかけになったわけじゃなくて、魔物チルドレンの方の声や、メンバーが頼ってくれたり期待してくれているということが少しずつわかって、自分の中での魔物への気持ちがどんどん上がっていって、頑張ろうっていう気持ちになっていったのは確かですね。

―サブキャラ的な感じでいたい気持ちは今もあるんだけど、今やそれだけではいられなくなったというか。

茉里:わちゃわちゃしているわけにもいかなくなったという。任せてもらっているというだけで、自分は頑張っちゃうんですけど。

―舞ちゃんが卒業するということで、そのあたりもより変化していくかもしれませんよね。

茉里:でも本当に、まいぷにがいなくなって大丈夫かなっていうくらい、私達みんなまいぷにが大好きだし、絶対的存在なんですよ。
それくらい、頼りにしているし尊敬しているので。でももう決まったことなので、3月までの2ヶ月くらいの中で切り替えないといけないなって思っています。

―今後、魔物ガールズの中で茉里ちゃんが一番先輩ということになりますよね。

茉里:ですよね、1年半ちょっとなのに大先輩に(笑)。でも「やらなきゃ」っていう責任感はすごく感じてます。魔物に加入したタイミングで、まいぷにが誘ってくれて一緒にお昼ご飯に行ったんですよ。
そのときに、すごく真剣に「(今の)魔物は不安定なグループだけど、私はその中でもしっかりと続けて支えていきたい」って言っていて。それを聞いたときに、中途半端な気持ちでここにいちゃいけないって思って。
もちろん、中途半端な気持ちで入ったわけではないけど、その言葉で一気に自分の中で色んなことを決めた瞬間だったんです。その言葉は今でも私の中にすごく残っていて、魔物で中途半端なことはしたくないなって。
これまでも何でも全力でやってきたけど、自分が積み上げてきたものを全て出してでもちゃんとやらなくちゃいけないなって、まいぷにに言われた言葉から感じたんです。だから、きっとまいぷには本当は続けていきたい気持ちがある中で今回の卒業を決断したんだろうから、その気持ちは私が継いでいかなきゃいけないと思っていて。まいぷにがいたっていう存在もその思いも一緒に背負って頑張って行きたいと思っているし、これから先輩として引っ張って行こうと思っています。

―先輩ではあるけれども、るびいちゃんとは同い年だしみずほちゃんとは2つしか違わないんですよね。

茉里:そう、同世代なんです!メンバーのおじさんたち3人と対照的に(笑)。ステージが長尺になっていったりパフォーマンスをしっかりクオリティを上げてやっていく中で、「おじさんたちを置いていっちゃったらどうしよう、クスクスクス」みたいな(笑)。

―それくらい、パフォーマンスに自信がついているってことですね。

茉里:私はもう、常に自信しかありません!

―ではメンバーのことについてお伺いしますが、新加入した麻宮みずほちゃんとは旧知の仲なんですよね。

茉里:ほぼ同期ですから。ずっと対バンをやってたんで。そこの安心感はめちゃくちゃあるし、実力もすごくある子なので。歌が少し下手なのはちょっとアレやけど知ってるし(笑)、すぐ泣いちゃうし、なんやろう、小っちゃい頃から知ってるから。安心感がありますね。

―同世代のいとこの女の子みたいな感じですか。

茉里:確かに親戚の女の子みたいな感じかも。姉妹ほど近くないけど、友だちほど遠くないというか。別にどこかに遊びに行くわけじゃないけど、尊敬し合ってる仲ですね。お互いが切磋琢磨して頑張ってきたからわかる仲というか。

―お2人は加入の経緯も似てますよね。

茉里:そうですね。だから、みずほが今一番不安になっている時期っていうのも、ひしひしとわかるので。どんな気持ちでいるのかがわかるし。だからこそ助けてあげたいというか、みずほなりに、魔物での居場所を見つけてくれたらいいなって。それを導くことというか「自分はこういう風に楽しくやってきたよ」ということは伝えられるから、みずほに関しては「私がいれば大丈夫」という気持ちですね。

―みずほちゃんは以前から「ももクロの夏菜子さんみたいになりたい」と言っていますけど、茉里ちゃんにとっても、ももクロの存在って大きいですか。

茉里:大きいです!実は私、ももクロのみなさんとは共演しているんですよ(「女川町復幸祭2015」にプラニメで出演)。同世代の女の子があれだけの活躍をしていることは励みになるし、すごくリスペクトしています。

―加入が決まってからどんなことを話しました?

茉里:悪く言う人がいても、味方の方が多いから大丈夫って言いました。何かの確実な希望があるから大丈夫っていうことではなくて「自分が大丈夫だと思えば大丈夫」というか。結局自分自身の問題だと思うんです。何をどれだけ言われても、自分が楽しいと思えたら楽しいに決まってるし、モチベーションがずっと保ってられたら絶対何か生まれてくるから大丈夫って。本当は、どこにいてもみんなに安心できる居場所なんか誰も与えられないんですよ、普通は。そんなに甘いものじゃないから、自分で作っていかないといけないと思うんです。でも、みずほに関しては「私達が守ってあげるよ」という意味で、大丈夫だよって言ってます。みずほは自分で生み出すことは苦手なタイプだと思うんですけど、与えられたものは全力でやるし、それを広げられる子だと思うので、一緒に考えて広げていけたらいいなと思っています。

―鏡るびいちゃんに関してはいかがですか。

茉里:謎です!(笑) いまだにるびいはすごく謎です。年齢的には同級生なんですけど、違う人生を生きすぎていて。るびいは、醤油とかタレとか瓶の調味料を集めるのがめっちゃ好きで、すっごい数持ってるんですよ。
美人だし顔が整っている女の子なのに、そういうヘンな収集癖とか人と違う着目点を持ってるところが面白いなって。それで地方に行ったときとかに、見たことがないヘンな醤油とかタレとか見つけると、写真を撮って送ってるんです(笑)。同級生だから、観てるものは全然違うんですけど、アニメとか漫画とかの話で「あのときこういうのが流行ったよね」とかいう話も出来るので、ちゃんと同じ時代を生きてきたなんだなっていうのはたまに感じます。でも、昔のものを色々掘るのが好きみたいで、その知識量がハンパじゃなくて。やっぱり普通の22歳じゃないんですよ。

―茉里ちゃんも普通の22歳じゃない気がしますけど…。

茉里:(笑)。同じ22歳でも違う世界を生き過ぎたので、今それを上手く共有できるようしていってる感じで。全然タイプが違う3人ですけど、それが私達の良さだと思ってますし、引っ張ってやっていこうと思ってます。

―1月6日にロックンロールバンド THE 夏の魔物として新たにスタートしましたけど、シン・マモノBANDとのライヴは手応えがあったんじゃないですか?

茉里:しっくりきましたね!色んなものがつながって良いものができたかなって。なるべくしてこうなったんじゃないかなと思ってます。みんなロックが好きだからしっくりきてると思うし、自分たちも楽しいし、より頑張れる感じですね。去年の本祭で生バンドでやったときは、すごく素敵なミュージシャンの方を揃えてもらっているからこそ「頑張らなきゃ、成果出さなきゃ」っていう気持ちが空回りしてしまって、納得できなかったんですよ。個人個人の欠点が見えてきたと思うんです。でも、そこを経験した上で改善してからの1月6日のワンマンだったので。うつみようこさんのボイトレで私の声の出し方も結構変わりましたし。生バンドでのライヴに関しては、続けていきたいし、成果を出して行きたいですね。「やるしかねえ!」って感じで。

―2月に名古屋と、地元・大阪でワンマン・ツアーがありますね。

茉里:名古屋とか大阪ってまだまだ開拓していないし、まずオケで通常のTHE 夏の魔物を観て、そこから東京のツアーファイナルで生バンドのライヴを観たらより良さがわかってもらえるんじゃないかと思うんですよね。
まだまだ東京以外の土地には存在を知らしめられていないので、名古屋・大阪でワンマンを成功させて、そこからですね。

―そしてシングルがリリースされることも発表されました。この時点ではまだ曲はわからないですけど。

茉里:曲に関しては、成田さんが一生懸命作っているのできっと良いものになるんだろうなって、何の不安もないです。私もキーが幅広くなってきて少しずつ対応できるようになってきていて。「バイバイトレイン」を歌ったときに、本当は出ないキーを必死に頑張って出してるんです。でも今はライヴでもめっちゃ余裕で出るんですよ。そういう成長がちゃんと出せるシングルになったらいいなって思ってますし「やっぱりTHE 夏の魔物は泉茉里がいなくちゃ」っていう存在になれるように、責任感を持って頑張っていきたいです。

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