第七回大内雷電

成田大致の盟友であり、メンバーからの信頼も厚い 大内雷電。 “自分の役割は楽曲やメンバーをよりブーストさせて伝えること”と公言している大内だが、歌唱、ダンスと自らもおおいにスキルアップしてステージに立ち続けている。現在とこれからのTHE 夏の魔物について、語ってもらった。

取材・文:岡本貴之

―2016年4月に大内ライダーから改名して約1年経ちましたけど、ペイントするのもやめましたよね。

大内:もういいかなって(笑)。別に怪奇派である必要もなくなったというか。今回のシングルのリリースでついに、僕のトレードマークであったドリルもなくしましたから。バンドセットだとステージ上の人数が多くて邪魔なのでつけないですし。それこそ今の魔物が洗練されたものになってきて、アウトプットが音楽だけになったっていう感じがあったので、もう奇抜さで勝負する必要はないなって。自然な感じで変わっていきましたね。

―名古屋、大阪のワンマン・ツアーはいかがでしたか。

大内:すごかったですね、ワンマンツアーっていうのはTHE 夏の魔物 初でしたから。東京から見に来てくれた魔物チルドレンもいたんですけど、それ以上に「初めて観た」っていう地方の魔物チルドレンが多くて。「ずっと待ってました」って言ってくれました。所謂「キャニオン期」で色んなメディアを通して露出していたことが、ちゃんと伝わっているのかそのときには実感はなかったんですけど、それは決して無駄なことではなかったというか。 「ずっと気になっていて、今日やっとこれました」って言ってくれて。これまでやってきたことはしっかり届いてたんだなって、ようやくここにきて実感しました。

―初めてライヴを観た人の反応ってどんな感じだったんですか?正直、戸惑う人もいると思うんですけど。

大内:実際、みんな生でメンバーのキャラクターを見るのが初めてなわけで。だから、るびいの突拍子もないMCがすべるとか(笑)。東京の人は慣れてるから「あはははは、るびいちゃん可愛いね」っていう感じじゃないですか?でも名古屋のライヴのときは結構「シーン」って、ガチすべりして(笑)。そこは「あ、初めてだな」っていう感じがありましたね。

―大阪の翌日、2月25日(土)新宿ACB HALLでは、せのしすたぁとの2マンでバンドセットでのライヴがありました。

大内:ギターがアツムワンダフルさん(ワンダフルボーイズ)、ベースがえら(めぐみ)ちゃん、ドラムがオータコージさん(曽我部恵一BAND)、キーボードがハジメタルさんだったんですけど、今までは城戸さん、BOBOさんという日本を代表する技巧派ドラマーで、オータさんはソカバンとかのイメージもそうですけど、かなりパワフルで魂で叩いているような熱いドラムで、全然タイプが違うんです。そこに煽られるものがあって「バトルモード」だったんです。みなさん、こんな名だたるプレイヤーばっかりなのに、すごく練習してくださってしっかり自分のものにしてるんですよ。バンドである以上は、生のライヴ感っていうのは絶対必要だと思うし、対バンライヴっていうのはその名の通り“対決するバンド”なので、共演者にいかに勝つか、尚且つお客さんの記憶に残るライヴができるかっていうのは、僕は大事だと思うんですけど、そういう意味で25日のオータさんのドラムは、楽曲をよりブーストして届けるっていう意味で、完全にバトルモードでした。



―その感じ方は、ベーシストとしての大内さんが音を捉える感じとは違うんですか。

大内:ではないですね。魔物のときは、僕は全然ベーシストの時の自分とは違うと思っているので。自分も歌う部分が結構多くなってきたんですけど、それがバンド編成になってからようやく掴めてきたというか。僕は歌手ではないですけど、演者としての立ち振る舞いが、バンド編成になってからの2ヶ月で掴めてきた感じです。

―最近は歌も歌うし、アントンさんとの掛け合いもあるし、だいぶ変化してきましたよね。

大内:みんな変わってきてますからね。成田もそうですし。チャンも、変貌していて。今までは彼女はオケで歌うアイドルとして経験を積んできて、今バンドセットになって、ボーカリストとしての表現力もそうですし、何より迫力が違ってきてますね。僕はステージ上でチャンの後ろにいるんですけど、波動が伝わってきますからね。

―茉里ちゃんは加入してしばらくしてから意識の変化もあったと話していましたが、それはライヴ・パフォーマンスからも感じますか。

大内:そうですね。その意識の変革もそうですし、ボーカリストとして、バンドサウンドでライヴをやることが始まったことで、チャンはその中でどうやって自分の声を主張していくか、バンドサウンドに負けないボーカルをやっていくことをすごく意識しているんだと思います。だから、ただオケがバンドになったということではなくて、バンドの人たちもボーカルチームも全員そうだと思いますけど、キャニオン期とは全然別物になりつつあると思います。

―THE 夏の魔物として初めて発表された音源が「僕と君のロックンロール」という以前とはサウンドの違う曲になりました。

大内:「THE 夏の魔物になって何が変わったのか?」というときに、ここが変わったというものがしっかり提示できる曲が出来たと思うんですけど、ボーカルが入る前のデモを聴いた段階で全然これまでと違うものになっているというのは感じました。イントロの時点ですぐにわかりましたから。そういう意味で、ちゃんと聴いてくれる人に提示できるものが出来たんじゃないなと思います。

―以前の過激さやハチャメチャさは影を潜めている感じがしますが、そうじゃないところで刺激を感じているんですかね?

大内:むしろ、飛び道具じゃない意味で、表現的なものは過激になっているんじゃないですかね。ライヴパフォーマンスもアグレッシブなものになっていると思いますし。

―そうした活動の中でメンバー間のムードもとても良さそうですね。

大内:ワンマン・ツアーで初めての名古屋に2日間、大阪に3日間行ってきましたけど、今回は初めて同じワゴンやバンでみんなで行きも帰りも共にすることになったんです。それってバンドっぽいじゃないですか?(笑)

―確かにバンドっぽいですね。

大内:みんなで「深夜高速」を走ったわけですよ(笑)。そういう移動の時点から、生まれていくもの、東京から出発してツアー先に向かって現地について「さあ、行くぞ!」っていうテンションの高まりというのは如実にあって、メンバー間のバイブスというのは今までとはだいぶ違うものはありましたね。簡単に言えば、普通に楽しいし良い感じということなんですけど。

―個人個人のパーソナリティとしては、普段はわりと大人しめな人が多いグループだと思っているんですけど、長距離移動してるときの車内ってどんな感じなんですか?

大内:しゃべってるか寝てるかですね。全員がスマホをいじって黙ってるということはないです。誰かしらしゃべってますね。もちろん、疲れているときはみんなしっかり寝てますけど。今回初めて、みずほちゃんが加入してからの現メンバーでの移動だったんですけど、けっこうみずほちゃんはあのまんまで、打てば響く感じで。るびいは、やっぱり…アホなんで(笑)。一番天真爛漫でまわりにずっとマシンガンを撃ってるような感じで、チャンがそれにツッコむ感じです。まいぷにはそれよりはちょっと大人な感じで。僕なんかは男なんでその女性のグルーヴには入って行けないんですけど、なんか不思議な感じなんですよね。ツアー中は色々行ったんですよ、大阪だったら道頓堀とか名古屋のときは名古屋城とか。あとは名古屋めしとか粉もんを食べに行ったんです。そういう中で、ライヴにもちゃんと反映されるグルーヴっていうのは培われていったんじゃないかなって。



―その培われたものっていう意味で言うと、成田さんと大内さんはアイコンタクトでだいたいわかる、という感じになってきてるみたいですね。阿吽の呼吸というか。

大内:まあそれは、今に始まったことじゃないですけどね。僕らは年長者なので、若い女子メンバーには伸び伸びやってほしいと思っているんです。みんなが楽しくやれるように、成田と一緒に気を回すというか。良い精神状態、良い体調で本番に臨めるよう、全部、最高の状態でライヴに臨むために。みんなが勝手に主張して自分だけが楽しいことをやっていたら、ライヴとかに響いちゃいますからね。うちの良いところは、男子メンバーが年上で、女子メンバーが全員年下というところが良いバランスだと思うんです。

―改めて考えると、こんなグループないですよね。けっこうな年齢差の男女が一緒にやっているって。

大内:不思議ですよね。僕とチャン、るびいが10才違い、みずほちゃんとはちょうど干支が一回りしますからね。それでも、同じステージに立っていると共鳴できるし、ライヴのときにバイブスを高め合えるので、すごく特殊なバンドではありますね。

―みずほちゃんが加入してから2ヶ月くらい経ちましたけど、彼女と活動を共にしてみていかがですか?

大内:すごくかわいい女の子なんですけど、どちらかというと不思議な生命体という感じがありますね、良い意味で(笑)。変わった存在なわけですよ。神秘さもあり神聖さもあり。かと思えば尖っているところもあって。でも、すごく鋭利なんですけど、ふんわりしているというか。実際、一緒にやってみてわかったのは、すごいポテンシャルの高さですよね。ライヴになったときの動きのキレというのがまずあって。これまでは、チャンのパフォーマーとしての才能の凄まじさにメンバーがついていけなかったというのが現実だったんです。るびいは初心者からのスタートだし、まいぷにも元々そういう経験はなかったので。僕は僕で必死についていくみたいな(笑)。でも、みずほちゃんの出現によって、ダンス表現という意味でのクオリティのアップにつながったというのがありますね。 “若さ”で片づけたら簡単な話なんですけど、やっぱり本能的にやっている部分はみずほちゃんにしてもチャンにしてもあって。例えば、最近僕は32歳として頑張ろうと思って、みずほちゃんにスタジオでダンスバトルを挑むんですよ。振り付けが決まってる曲を同時に踊って、お互いに本気で、100%でやってみるぞって。みずほちゃんはまだ2ヶ月しかやってない、でも身体能力はある。僕は身体能力はそこまでじゃないですけど、何年もやってるという、良いハンデがあるので「バシッバシッ」ってやって、映像を見ると「アレー!?」って(笑)。

THE 夏の魔物 ツアーに向けて
「12歳下の若者にダンスバトル挑んでみた」
課題曲:爆裂レボリューション
条件:本気100%で

32歳の本気、生で観たけりゃ24日大阪、25日新宿においでませ!https://t.co/3jkHTQrT08 pic.twitter.com/716FnACwep

— 大内雷電 【THE 夏の魔物】 (@Ohuchi_RYDEEN) 2017年2月21日

―完敗しているわけですか(笑)。

大内:完全に負けてますね。自分では結構できていると思ってたんですよ。いかんせん、チャンにすごく鍛えられているので、チャンの加入後と加入前では、自分でもハッキリわかるくらいダンスのレベルは変わっていると思っているので。でもみずほちゃんとダンスバトルしてみてわかったのは、ダンスのキメの1個1個の瞬間のキレ味というか。
魔物の曲はキメとか拍子やテンポが変わったりというのがすごく多いんですけど、それに体で順応しているんですよね。

―天性のものがある?

大内:そうですね、あれはすごいですね。だから、「ふんわりほんわかキャラ」じゃないところをみなさんに伝えていきたいんですよね。

―確かに、ライヴを観ないとわからないですもんね。

大内:そうなんですよ。飛び道具みたいに思われてたらすごく嫌だなって。ちゃんとTHE 夏の魔物を構成する1人として入っているので。これからそれはわかっていくと思うんですけど。今回の「僕と君のロックンロール」は、みずほちゃんにとっての1曲目なわけじゃないですか?今後はしっかりTHE 夏の魔物の中核を担う存在になっていくんだなっていうことが、この2ヶ月でかなりわかりました。基本的にアスリートなんですよ、ライヴに向かうときも目つきがどんどん変わっていきますから。特典会とかで見せる「ほわ~ん」とした感じとは一線を画す感じで。ライヴって100人単位の人間を相手にするわけですから、直感的なものはすごく必要なんです。僕とか成田とかアントンさんはキャリアが長いので、わかるものがいっぱいありますけど、彼女はまだ20歳なので。それでわかるのは天性の物なんだと思います。



―舞ちゃんが卒業して、茉里ちゃんみずほちゃんと一緒にやっていく、るびいちゃんの存在もこれまで以上にクローズアップされるのではないでしょうか。

大内:るびいはもう、爆弾みたいなものなので。爆発力で勝負です(笑)。本人は「自分だけ経験がない」ということを気にしてると思いますが、でも逆にそれはすごく武器になるので。ダンスのキレとか歌唱力では勝てないかもしれないけど、メンバーの一員として「ロックが好き、魔物が好き」っていう圧倒的なエネルギーがあるので。アントンさんがいないときに代わりを担うことがあるんですよ。僕が面白パートを担って、るびいがシャウト、スクリームっていう爆発パートを担っているんです。最初の頃はただ無計画に四方八方にマシンガンを乱射するような感じだったんですけど、最近は重いバズーカを「ドーン!」と撃つような感じに変わってきましたね。醤油が好き、とかロック、パンクが好きとか、変わった感性を持った子なんで、もともとの爆発力はあるんですよね。そこをいかに今後、鋭さを増していけるのかというは楽しみですね。

―「over the hill」を作詞していたり、ライヴでもMCを任されることの多いアントンさんの言葉って、大内さんにはどんな影響を与えてますか。

大内:僕は、アントンさんに関しては絶対的な信頼と尊敬を持っているので、アントンさんが語ることはもう、すべて最高だと思ってます。表現力でいったら本当に、鬼神のような方で。アントンさんのインタビューで、僕との掛け合いは全部アドリブで出来る、“神が与えたもうた相性”っていう話をしてくれてたじゃないですか?あれはもう、めちゃくちゃ嬉しかったですね。過去のインタビューでも「僕の役割はみんなをブーストさせること」だということは何度か話してますけど、アントンさんについてもそうで、アントンさんが自由に自分の表現をやるためには僕が決めるところをしっかりと決めなきゃいけない、という思いはあるので、今後も一緒に高め合っていけたらなと思っています。

―舞ちゃんの卒業がいよいよ3月17日に迫ってきました。

大内:体調の問題ということもあって。やっぱり人間の集合体である以上は、どんな形でもいつかは別れがくるし終わりがくることは絶対あるので。それが今このタイミングできたということだとは思うんです。今卒業することが悲しいとか寂しいとかではなくて、まいぷにがいなくなったときに『この6人でどうするか』というのをしっかり考えていきたいなと思っています。ちゃんとこれからもTHE 夏の魔物を上昇させていくというのが、一番重要だって考えていて。「パワーダウンしたね」「まいぷにがいた方が良かったね」って言われたら、それは一番嫌だし。ましてやメンバーが抜けて休止してまた活動再開するとかいうわけじゃなくて、僕らは次の日にツアーファイナルがあるので、甘えている時間はないんですよね。それはすなわち、6人のTHE 夏の魔物も最高だなって思わせるライブをすることだと思っています。今、毎日のようにみんなで特訓してますよ。今回、ワンマン2daysで続くので、今までの集大成を見せつつも、次の形を提示していくという、意味のある2daysにしていきたいです。

―そういえば「僕と君のロックンロール」のMVで成田さんがまた学生服を着てますけど、青春ものが好きですよね、魔物は。

大内:いつまでも青春っていうのは大事ですからね。まあ僕は32歳にして青春真っただ中ですから。学生時代や駆け出しのバンドマン時代よりも、毎日充実した日々を送っています。僕たちの“黄金期”は今ですから。3月18日からのTHE 夏の魔物が、新しい体制、楽曲、心意気で、いったい何を提示していくのか、ぜひその目で見に来て欲しいです。ツアーファイナルで会いましょう!

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